「和平ロードマップ」計画の初年度がなにも実行されないまま終わり、世界がその存在さえも忘れかけてい 　　　　　る。そんなパレスチナは、今新たな問題をかかえている。 　　　　　 　　　　　 　　　　　パレスチナの現在は、その自主独立問題よりも前に「分離壁」という現実を突きつけられている。 　　　　　イスラエル政府、というよりシャロンがおし進めるこの「壁」の建設は、イスラエルをテロの恐怖から守るとい 　　　　　う大義が与えられているらしい。 　　　　　さらにその「壁」は、そのシャロン自身が１０数年以上も前から先頭をきり進めてきた占領地のなかの入植 　　　　　地を守るために、占領地をまったくと言っていいほど物理的に分断して建設されていく。 　　　　　グリーンラインを大きく侵食して建設されるこの「壁」は、占領地のパレスチナ人の生活をまったく無視した 　　　　　ものだ。 　　　　　今、この「分離壁」はハーグの国際法廷に提訴され、パレスチナ人の人権を守るために争われている。 　　　　　この現状を自分の目で確かめるため、２００４年１月ふたたびパレスチナを歩いてみた。